整体の現場にいると、「薬や手術は良くない」「ごまかしているだけ」という極端な意見を耳にすることがあります。
自然療法をベースにしつつ、西洋医学も学んできた私からすると、その二元論には少し違和感があります。
結論から言えば、「どっちも大事で、できることが違う」。これに尽きます。
1. 私が「病院へ行ってください」と伝える理由
私は施術の際、「これは整体の範疇(はんちゅう)ではないな」と思ったら、迷わず整形外科の受診を勧めます。
• 整形外科が得意なこと:
骨折や転倒などの外傷、靭帯の損傷、骨の変形。これら「構造」のダメージを診断し、炎症を鎮めるのは医学の力が必要です。
• 整体が得意なこと:
関節の動き、筋肉の柔軟性、それに伴う神経や循環の質。いわゆる「動きの要素」を整えるのが私たちの本領です。
最近も、椎間板ヘルニアを疑う患者さんが来院されました。お仕事の都合でまずは当院を頼ってくださいましたが、私は「まずは一度、正確な診断を受けてきてください」と病院を勧めました。
他にも、転倒後の膝の不調や、施術で変化が出ない坐骨神経痛など、医療的な加療をお願いしたケースはいくつもあります。
それは、「何が原因か」をはっきりさせることが、患者さんにとって最短の回復ルートだからです。
2. 「施術だけでは解決できない」という壁
もう一つ、長年私を悩ませてきた「残念なループ」があります。
施術の後は調子がいいけれど、しばらくすると姿勢や筋力の弱さから、また痛みが戻ってしまう……。
「せっかく整えたのに、また悪くなってしまうのを繰り返したくない」
その思いから、私は現在、理学療法やパーソナルトレーニングの領域である「運動療法」を再度に研究しています。
関節を整える(整体)だけでなく、それを支える力(運動)を作る。この両輪が揃わないと、本当の意味での「卒業」は難しいと痛感しているからです。
3. あなたの不調を、どう使い分けるか
今の私の基準は、とてもシンプルです。
• 強い痛みや腫れがある時
まずは医療機関へ。原因を医学的にハッキリさせる。
• 明らかな異常がない、または治療と並行したい時
整体で「動き」と「循環」を整える。
• 慢性的な不調を根本から変えたい時
整体に「運動」を組み合わせ、戻らない体を作る。
得意分野が違うからこそ、手を取り合うべき。
私は、自分の技術を過信せず、かといって医学に丸投げもせず、「今のあなたに、今必要なもの」を正直に提案できる場でありたいと思っています。