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依存症を考える

自分の当然だと思っている事が思っていたよりも時代遅れだったという事が多い。

それを気づかせてくれたのが依存症と言われる症状だ。昨今、スマホ依存やゲーム依存などの新しい依存症が名づけられて、さらには香川県ではゲーム規制条約なども規定されたのは記憶に新しい。でも、これらを単純に取り上げればいいものなのか。私も非常に行為や物質に依存形質があるので、依存という事がどういう事か学ぶことは自分にとっても非常に価値があった。

今回は『世界一やさしい依存症入門』などの著書を読んだ感想をほかの本の感想も含めて書いていきたい。

依存症とは、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられない状態と言われている。

一番多いのは、アルコール10万人、次いで、薬物1万人、その後ギャンブルなど続いている。タバコや窃盗、痴漢、のぞきなども依存症の概念に入ってくるのではとのこと。他にも、買い物やゲーム、エナジードリンクも度を過ぎれば依存症だ。

なぜこんなことになってしまうのか、報酬系と言われる部分の暴走です。ドーパミンと言われる物質が「気持ちいい」や「緊張から解かれて目的を達成した」瞬間に出ることで放出される。結果的にそれを反復してしまうという事だ。さらに繰り返す中でドーパミンの耐性がついて、より過激な行為やより多くの量になってしまうというところ。

ただこれではなぜ皆がアルコールやタバコに依存しないかという理由にならない。

これは依存症になりやすいか、なりにくいかには個人差があり、その違いが生じる要因の一つは、幼少期の経験や育ってきた環境にあるということ、それに加え、認識の歪みです。

初めの内容については幼少期に虐待やいじめを受けて、自分はこれで良いという自己肯定感が得られずに常になんとなくつらい。役に立たない、生きていてはいけないという気持ちを持ってしまう。こうなってしまうとこの感覚から一瞬でも回避するために物質や行為に依存してしまう事になるとのこと。

これはエドワード・J・カンツィアン博士が提唱した学説に『自己治療仮説』という学説があり、依存症の人は無意識のうちに自分が抱える困難や苦痛を一時的に緩和するのに役立つ物質を選択し、繰り返し使用するうちに依存症になるというものです。

動物実験でおもしろい実験があり、コミュニュケーションや質のいい環境で飼育したラットにモルヒネ水と水を与えたところ、ほとんどのラットが水を選択したのに対して、閉鎖的な質の悪い環境で飼育したラットはモルヒネを選択し依存したという事だ。加えて、この後者のラットを前者の飼育環境に移した際には再び水を選択し、依存性質が改善したという事だ。

つまり、依存症の人こそ良い環境と良い人間関係を示唆するのだけども、現状は逆だ。

学校でも貼ってあった懐かしいポスター、「ダメ。ゼッタイ。」という事で一度でも薬物しようものなら人間失格だ。世間でも芸能人の薬物スキャンダルは絶えないし、1回でも捕まれば終わりのような社会的なバイアスがある。ただこのような状況で、より追いつめられるとより自己肯定感は低下し、つらいきついになり依存傾向が強くなるということだ。その点、佐々木希さんはすごいなと思う。渡部さんのそれはおそらく依存症のそれであると思うし、今後は本当に大変なんだろうけども実際には「ダメ。ゼッタイ。」に続きがあり、そこから立ち直る人も多い。

また、依存の問題行動は前頭前皮質と言われる、脳の前の方によって抑制されているので、この機能が低下すると問題行動は発生しやすくなる。では、前頭前皮質の機能が低下するときとは何か、疲労(肉体性・精神性ストレス)、睡眠不足、偏った食事、運動不足、コミュニケーション不足など。不健康であることが前頭前皮質を機能を低下させる。

加えて、おそらくこの依存になりやすいかどうかは遺伝が強いのじゃないかと思う。

そうなってくると、より影響が強い生まれ(遺伝)や幼少期の育ち(環境)が人生を決めてしまうともなるとどんな社会こそ適切なのかということや恵まれた人はどう振舞うかなどともっといろいろ知って考えたい気持ちになる。